ずれるのも、面白いかも。
フランスと日本、子どもの未来につながる、良いデザインとは。「MilK」編集長イジス・コロンブ・コンブレアス × ナガオカケンメイ トークセッション。
フランスのキッズファッション雑誌「MilK」編集長のイジスさんと、D&DEPARTMENT代表でデザイナー、このとき47都道府県から集めた「47こども道具展」を開催していたナガオカさん。
モデレーターの山口博之さんの質問は、なるほどその視点、と思えるものがいくつもあって面白かった。しかし、それに対するイジスさんの答えが、どうも若干ずれている。フランス語にするとニュアンスが違って伝わってしまうのか。イジスさんの発想なのか。
でもそんなずれ方もまた面白かった。わざとはっきり答えないようにしているというわけでもないのがわかる。この空間は言語や文化を超えていて、それぞれが自分の考え方、自分の積み上げてきたもので、自分の世界観をつくっている。相手に合わせるというより、相手に寄り添おうとしながら、自分のペースで、自分の世界観が流れ出している。観客からの質問に対しても、そんな感じだった。
なぜこの日行ったのかというと、本物のナガオカさんを見てみたかったからだ。ナガオカさんが創刊されたd design travelに広報時代に出会ったとき「こんな風に言えば地域外の人もいいなと思うのか」と衝撃を受けた。
登場されてまず、お洒落、と思った。丈が短めの、エメラルドグリーンっぽい明るい色が入ったチェックのパンツに、黒のトップス。その要素は私のイメージから抜け落ちていた。でも、イジスさんに柔軟に合わせ、山口さんに答える柔らかい話し方は想像とあまり離れていなかった。
「子ども」も「ファッション」も「お洒落」も、今の私からはそんなに近いテーマではない。
でもこの日、その場にいる人たちが自分の世界観を流れ出させた状態で、見る価値のある、人に見せるべき会話がつくられていくのを目の当たりにして、得体の知れない力を、確かに感じた。わかりやすいだけがいいわけじゃない。謎のままのほうが、力が削がれないのかもしれない。
私はこれからも、人に会う。
なんとなくうなずいて、なんとなく落としどころをしゃべる無難な場じゃなくて、
振り返ったらきらきらに感じるような場を、どうやってつくっていこう。