茶色の。

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この間、バンドの子がかわいいですねって褒めてくれたコートは、実はおばあちゃんのコートだった。
母曰く、おばあちゃんは「着道楽」だったという。仕事をしていて、その収入で服を買って着ていくのが楽しみだったらしい。
おばあちゃんの痴呆が少しずつ進み、病院で寝たきりになってから、おばあちゃんの家で掃除をするたび、娘3人と孫娘6人(孫7人中6人が女子である)が各々着たい服を見つけては、もらって帰って着た。痛んだりどうにもデザインが古いものもあったけれど、掘り出し物が潜んでいる。ブランド物のバッグなんかはなんともなくて争奪戦になった。
うちの母は着道楽は受け継がなかったが(3姉妹の中には受け継いだっぽい叔母も)、洋裁の仕事を細く長くやっている。
その子である私は、もはや着道楽の血は自分の中にほとんど感じない。
でも、おばあちゃんのものそのものが、私の見た目を救ってくれている。
あのお褒めの言葉を受け取るべきは、おばあちゃんなのだ。
おばあちゃん、かわいいって言ってもらえたよ。
写真と本文は特に関係ありません。

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