SNSで見かけて、やってみるか、と思い至った。
東京にある岐阜県ゆかりの地をめぐるスタンプラリーで、スタンプは東京メトロの4駅に設置されている。
Twitterで検索してみると、早速やっている人がちらほらといる。電車でのスタンプラリーというのはやったことがないが、それが好きな人というのがいるらしい。
外苑前駅
駅事務室でスタンプラリーの台紙をもらう。
スタンプ設置箇所は「2a出口付近」と台紙にある。駅構内には道案内が。
(これは湯島駅で撮ったもの)
スタンプ発見。
この駅と岐阜県とのゆかりは、駅のあたりの地名と、駅のすぐそばにあるお寺・梅窓院(ばいそういん)にある。
江戸時代、このあたりに青山家の屋敷があり、それが「青山」の地名の由来となったといわれる。
この青山家の、徳川家康の家臣でもあった青山幸成(ゆきなり)が、1643年に亡くなったときに建立されたのが梅窓院だ。
後の1758年に、幸成の子孫である幸道(よしみち)が郡上藩主となる。郡上一揆などで前藩主の金森氏が改易となったことに伴う転封だった。その後も明治の廃藩置県まで、青山家が郡上藩を治めることになる。
つまり幸成自身は特に岐阜とゆかりがある訳ではなく、青山という地名ならば青山一丁目駅の方がゆかりの地としてふさわしいような気もする。外苑前駅というのは、やや強引な設定のような気もしなくもない。
しかしこのゆかりから、郡上市と港区は友好交流に関する協定を締結していたり、郡上踊りが青山あたりで開催されていたりする。縁を育てるってそういうことか。
そんな風に、達成賞引き換え場所の最寄りである日比谷駅以外のスタンプ設置駅は、岐阜とゆかりがありつつ、東京メトロ以外の路線が通っていない、乗り換え駅でもない、絶妙な場所に設定されている。
お寺の写真を撮って載せていいものか迷ったが、道から見える外観ならばと。(まずいようなら削除します)
竹林の雰囲気が素敵。外苑前駅の出口がお寺の入口の目の前にあるので、これ以上引いて撮るのは難しかった。本堂棟は隈研吾さんの設計によるもので、ガラスの壁面が美しい近代的なビルだった。
落合駅
都営大江戸線で向かい、中井駅から歩く。東京メトロのスタンプラリーなのに他社線を使う邪道。
この駅と岐阜県とのゆかりは、中津川市の落合宿と名前が同じ、というものである。まあそれで落合の石畳を東京の人にも知ってもらえるならいいのか。
スタンプ、あった。
湯島駅
東西線に乗り、大手町で千代田線に乗り換え。
スタンプ、発見。
湯島駅から徒歩7分のところに、3代将軍・徳川家光の乳母、春日局の菩提寺「麟祥院」がある。その前には春日局像がある。
このあたりの地名「春日」も春日局が由来だという。(春日駅は東京メトロではなく都営三田線にあるのですが。)
春日局は、美濃の守護代を代々務めた斎藤家の一門で、明智光秀の重臣となった斎藤利三の娘。岐阜県内にも春日局ゆかりの地がいろいろとあり、岐阜の人にもゆかりの人物と認識されている。
境内に入ると、木が茂って、静か。東京に、こんな場所が。
「春日局の墓」の道案内が出ていたので、それに従ってお墓の前に辿り着き、お参りする。
日比谷駅
あとは、最後の日比谷駅まで千代田線で一直線。駅事務室の近くにあるスタンプを押す。
これでスタンプはオールクリア。賞品の引き換えに、日比谷駅から徒歩6分の岐阜県アンテナショップ・岐阜トーキョーへ。
最短ルートがわからず適当に進んでいたら、エスカレーターを降りたところで、島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」に出くわす。
広いぞ。明るいぞ。人通りも多そうだぞ。正面に陳列されている、松江の和菓子に心そそられる。(個人的に、夫の両親が島根出身で、このブログでも紹介したゆかりのある県なので、余計に気になる。)
県が気合を入れて予算を割いたときの資金力を見せつけられる。日比谷・銀座周辺には他にもこういう、県が運営するアンテナショップがいくつもある。
基本的に民間でやっている岐阜トーキョーが、こういうお店の近くに場所を構えたというのがすごい。
とか思いながら歩いていると、着いた。
岐阜トーキョー
お店の外のベンチでカップルが楽しそうにしている。お二人が入らないように写真を撮る。
スタッフの方に、達成賞の引き換えをお願いする。
織田ちん!
このブログでもインタビューさせていただいた、岐阜の漫画家・石田意志雄先生がデザインされたポチ袋。
岐阜県オリジナル記念品、というので気になっていたが、確かに袋の裏側に非売品と書いてある。販売されているものとは何か違うのだろう。
店内、岐阜トーキョーができるときのクラウドファンディングの、リターンの絵が完成していた。
私もどこかにいるはずなのだが、おまかせで描いていただいたため顔がわからず、探しようがない。ただ、どこかにいる、と思って、楽しませてもらっている。
お土産にともだちビスケットを買って帰る。
東京の地下鉄で、約3時間の旅。
大江戸線に乗った瞬間、嫌なにおいがした気がした。
すぐにわからなくなるくらい微かなものだけれど、わからなくなりながらもその空気を吸っているのかと思うと、あまりいい気はしない。
やっぱり、東京は苦手なのかも。今更そう気付く。
それでも、スタンプラリーがなければ行かなかったであろう場所に行けたし、知らなかった場所を知れた。貴重な体験だった。スタンプラリーを好む人の気持ちもちょっとわかった。
仕事は東京にたくさんあるのかもしれないけれど。私の暮らし方の好みは、理想としては、東京にたくさん行かなくても成り立つ方向にあるのかもしれない。
それを知ってどうするかはひとまず置いておいて。スタンプラリーは、自分の心にあるものを、改めて知る時間でもあった。