役割がほしくなった。LOCAL LETTER LIVE  TURNS × WHERE それぞれのトップが語る「人が変われば地域が変わる」。

「移住しなくてもいいんです」
はっきり言い切られて、救われた気分になった。

LOCAL LETTER LIVE  TURNS × WHERE それぞれのトップが語る「人が変われば地域が変わる」」に行ってきた。
日本の“地域”をテーマにした雑誌「TURNS」は以前からよく読んでいるので、なんとなく興味を惹かれて。
WHEREは「LOCAL LETTER」というウェブメディアを時々読んでいたので知っていた。地域の何かをプロデュースするような仕事もされているそうだ。

人が変われば地域が変わるTOP同士の一夜限りの対談イベント 地域メディアに携わる2人の本音の本音の本音とは
日時:2018年10月10日(水)19:30~21:30
会場:株式会社CRAZY(東京都墨田区石原1-35-8 JR両国駅より徒歩約12分)
登壇者:
堀口 正裕「TURNS」プロデューサー / 株式会社第一プログレス常務取締役
平林 和樹 株式会社WHERE代表取締役
(司会は「LOCAL LETTER」編集長)

「公開取材型イベント」だと紹介があった。切り口は「地域×ビジネス×人づくりに紐づけた「2人の本音」」。地方メディアについてなど、いくつかの質問をもとにお二人が話す。
挙手で調べると、この日の参加者が最も関心を持っていたのは、地域を巻き込んで事業をする上でのスタンスについての質問だった。やはり都内でのイベントだから、都内の会社に勤めていて、地方に行って、という仕事をしている人も多いのだろう。

地域と関わっているって、いけてる

司会の方の言葉が時々耳にひっかかった。「地方層」「地方系」「地域をやっている」。地域に関わることをこんな風に、ほぼ日風に言うなら「オトナ語」を使って話す時代になっているのか。
そして会場には若くてかわいい女子、イケメンビジネスマン風男子が多く、どことなく華やかだ。今ってこんなに「地域に関わっている人はいけてる(そんな俺/私はいけてる)」みたいな時代になっているのか。少なくともそれが成立する世界がここに存在している。その世界の大きさははっきりとはわからないながらも、驚いた。時代は変わってきている

「地方創生」という言葉が繰り返されていたのにも驚いた。そんなに大切な、掲げるべき言葉だったのか。政治の臭い、うさんくさいイメージしかほぼなかった。理念のことではなく言葉の選択についてのことだ。
しかし途中で堀口さんが「地方創生という言葉でくくられると違和感がある」とつっこんでいた。自分だけの感覚ではないとほっとした。
地域のことが現在の日本の大きな課題であることを、地域のことにあまり関心のない人にもわかりやすく伝えるためには、この言葉にわりと大きな力があるのかもしれない。だから使うのもやむを得ないのかもしれない。今のところあまり好きな言葉ではないけれど。

役割を持って関わる

TURNSはツアー、東京でのカフェイベント、婚活イベントなどいろいろな事業をやっているけれど基本的にはメディアということで、堀口さんはメディアとして地方で何かやるときの話をされていた。
ああ、目を啓かされるような言葉が次々あった。

・TURNSでは、いかに生きるかということを大切にしている。生き方のヒントとして地方がある。
・地域に関わることは教育の観点からも有効。自分は子どもを連れていくこともある。
・紙面に載るのはどうしてもスーパーマン、スーパーウーマンばかりになりがち。でも、それだけでは伝わらないものがある。現地に行くことで裏側も見える。本質を見抜いて、真実を伝えることがメディアの役割。紙でもWebでも。
・TURNSは地域で活動する人の参考書のようになっているところがある。他の地域にとって有益だろうと思うことを紹介する。その地域の特殊な事情で成立すること、話題だけで終わるものは紹介しない。
・TOKYO FM「Skyrocket Company」という番組をやって、地域に興味がなかった人がツアーに来て、移住したことがあった。生き方の選択肢は伝えられた方がいいと思う。

そして最も印象的だったのが冒頭の言葉だ。
移住しなくてもいい。でも「関係人口」と言うとき、ふるさと納税をするだけではなく「役割を持ってそこに関わる」ことが重要だと堀口さんは言っていた。
堀口さんの場合はメディアの人なので、その地域をよく知ってそれをちゃんと表現することが、地域の人と信頼関係を築く一番の近道だと。
そしてそれが、自分が楽しくて地域のためになることであるといいと。
「自分のやりたいことと世の中のニーズが合致するところにビジネスが生まれる」「自分たちが楽しくないといけない、と一貫して考えている。自分が楽しいことをどんどんやればいい。場所の選択肢が地方であるだけ」。

自分の、役割をつくりたい

岐阜が好きだけれど移住がかないづらい自分にとって、堀口さんの言葉は救いだった。
私が楽市JAZZ楽団を続けているのは、岐阜での役割がほしかったからかもしれない。Facebookでの広報をやらせていただいているのもそうなのだろう。市役所という枠がなくなったら岐阜で何でもなくなってしまう私の、頼みの綱だったような気がする。

これから、願わくば、川崎に引っ越したのになぜか今も岐阜に並々ならぬ情熱を注ぐ変なブログをやっている変な人、という役割も持てるようになれたらいい。そうなれるように、もっと変なブログ、もっとおもしろいブログにしたいと思う。
そう思っていたら、これからのブログの方向性についてもいろいろアイデアが浮かんできた。自分の楽しいことを、と言われたのも救いだった。きっと今思うことで、今やっていることで間違いではないと思えた。

そんなこんなで私にはとても参考になるお話だったが、私の隣にいた方はメディアというより、地方でお金を生み出すような事業を考えていたらしく、少々ミスマッチが起こっていたようだった。彼女は長野県のある町と千葉との二拠点居住をしているという。

「地域で稼ぐことと、地域を活性化するということでは、ギャップが生じることがあると思う。東京から地方へ自分の仕事を持ってくるだけでは、地域にあまり貢献できないこともあると思う」

周囲の人と感想をシェアする時間が設けられ、彼女はそんなことを話していた。そんな話ができたことだけでも、行った意味があったと思った。もちろん住んでいるだけでもいろいろと貢献していることはあると思うのだが、実際に二拠点居住をしてみて、ふつふつと感じていることなのだろう。

平林さんと司会者の方、そして参加者の方々のいけいけパワーと、堀口さんの20年以上地域のことに関わっていることからくる知見とで、濃い時間だった。時代は変わっている。ああいういけいけパワーを持っている人に向けた記事やプログラム、プロダクト、サービスなどをもっと考えるべきなのかもしれないと思った。そういう人たちが一定程度以上いることを頭に入れておく必要がある。
もしかしたら、後で振り返ったとき自分にとってとても大切な時間だったと思うかもしれない。行く意味のあるイベントだった。

TURNS
LOCAL LETTER

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