ブレンドコーヒーってすごいんだ。おとなの学校第60回で、Yeti Fazenda Coffeeさんに聞く。

カフェ好き、コーヒー好きのはずなのに、全然わかっていなかった。

おとなの学校 第60回
日時:2020年1月29日(水) 19:00〜21:00
場所:カンダマチノート(岐阜市神田町3-3 加藤石原ビル)2階
授業料:800円
科目:社会と科学
テーマ:コーヒーに誘われて
先生:打出拓さんYeti Fazenda Coffee
「おとなの学校は、子どものときにきけなかった、よく分かってなかったいろいろをおとなの視点でフラットにゆるーく学ぶ、対話式の授業です。毎回、先生は、何かを積極的に教えたことのない人も含めていろんな人が登場します。」毎月最後の水曜日に開校。

ブレンドコーヒーに、お店の個性が。

打出さんは滋賀県彦根市の方だけれど、2月23日(日・祝)に行われる「Yanagase COFFEE COUNTER」というイベントの主催者だ。そのイベントでは、出展するそれぞれのお店がブレンドコーヒーを提供するという。

最近よく聞く「スペシャリティコーヒー」とは、例えばブラジルのある農園の豆、など一種類の豆からなるコーヒー。「シングルオリジン」とも言うらしい。
対して「ブレンドコーヒー」は、いくつかの種類の豆をブレンドしたもの。お店の人が、実現したい味をめざして、この豆をこれくらい焙煎したものをこのくらいの割合で…とすべて決めてつくるもの。だからお店ごとの個性が現れる。お店の顔ともいえるものだ。

つまり今回のイベントでは、ブレンドコーヒーを飲み比べることで、お店ごとの個性の違いを楽しむことができるのだ。

ブレンドコーヒーをつくるためには、それぞれの豆の味を知っておかなければならないし、焙煎の程度も、配合割合も、無限の可能性の中から決めなければならない。舌とか技術とか知識とか、いろいろなものが必要だ。

最近ではメディアなどでスペシャリティコーヒーが取り上げられる機会が多い。でも打出さんは、このイベントでブレンドコーヒーの魅力を伝えようとしているのだ。

ああ、全然わかっていなかった。
スペシャリティコーヒー、ブレンドコーヒーという言葉の意味も何となくしかわかっていなかった。ブレンドコーヒーをつくることがそんなに大変で、お店の顔になるものだというのもよくわかっていなかった。味の違いも、飲むたびになんとなく感じてはいたけれど、他と比較したりして深く考えることがなかった。

今日の授業で打出さんはまず、ブラジル産のある豆だけを挽いたコーヒーを約20名の参加者に配った。次にエチオピア産のある豆だけのコーヒーを。そして最後に、両者を1対1で配合したブレンドコーヒーを。
ブラジル産の豆はすっと飲みやすく、後に少し苦みが残る。酸味はあまりない。エチオピア産は酸味があって、舌にべたっと濃く残る感じがする。そしてブレンドしたものは、酸味がおさえられ、すっと飲めるけれど、こくがある感じがした。
ブレンドすると味が合わさって変わっていくのが面白い。「味が広がる」と打出さんは話していた。こうやってそれぞれ実現したい味に近づけていくのか。

コーヒー、知らないことばかり。

最近は、浅煎りで酸味があってフルーティーなコーヒーが流行っているそうだ。コンビニでコーヒーを出すようになって、コーヒーを飲む人口が増え、コーヒーのイベントも増えている、とも。
名古屋や岐阜のイベントでは特にコーヒーを飲む人が多い、と打出さん。喫茶文化があることを感じるそうだ。地元の滋賀では「外でコーヒーを飲む文化があまりない」と。文化の違いが目に見えるほどになるとは、ちょっと意外だった。

コーヒーに関するさまざまな知識も教えてくださった。ペーパーフィルターは、漂白されているものなら湯通しをすると紙のにおいが抜けるとか。2杯分の豆で淹れる場合、最初の1杯分のお湯を注ぐうちにおいしい部分の養分がほぼ出てしまうので、2杯目はフィルターを通さずお湯を直接注いで割った方がすっきり甘いコーヒーになる、とか。
コーヒーに詳しい人はよく知っていることも多いかもしれないが、私には知らないことばかりだった。参加者の中には、確か岐阜のあのカフェのお方では、というプロの方もいらっしゃったけれど、広く深いお話に聴衆から大きなリアクションが起きていた。

たぶん、コーヒーの知識より言いたかったこと。

「普段こんな風に人前で話す機会はあまりない」と言いながら、とつとつと話す打出さん。この日話すことをいろいろ考えてきたという。メモしてあるらしいスマホを時折見て確認しながら、コーヒーに関わってきた経歴を話し、最後にこんなお話を。事故に遭って人生を考えた。やりたいことをやりたいと思った。それがお店を出すきっかけになったと。友達から「お前はやりたいことをやれていいな」と言われるけれど、やりたいことやればいいじゃん、と思う、と。

きっとそれが、打出さんが今日一番言いたかったことなのだろう。打出さんのその口調で言われると説得力があって、ぐさぐさ刺さった。
そういう打出さんだからこそ、協力者が集まってくるのかもしれない。

私ならどうお話を聞くかな、とまた思った。「おとなの学校」に参加したのはとても久しぶり。モデレーターはいない。途中までは打出さんがコーヒーを淹れながら話し、途中からは校長の末永三樹さんや参加者からの質問に答える形で進んでいった。「ゆるーく学ぶ、対話式の授業」という説明の通りだ。
話は時々途中で終わったり、行ったり戻ったりする。でもそれもまたいい面があるのかもしれない。その日の参加者の関心にダイレクトに合った話ができたり、1回ごとの準備が少なめで済むのでより少ない負担で続けることができたり。「おとなの学校」もう60回、丸5年続いているそうだ。

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Yanagase COFFEE COUNTER 柳ヶ瀬コーヒーカウンター
日時:2020年2月23日(日、祝)10:00~16:00
場所:岐阜市柳ケ瀬本通 アーケード内
ブレンドコーヒー飲み比べチケット 前売り1500円 当日1800円
(オリジナルマグカップ+コイン3枚(3杯分))

※東京から鳥取まで全国各地のコーヒー10店紅茶1店が出展。
レコメンダー9人(岐阜を中心に、食関係のお仕事の方々)が、それぞれのコーヒーと食べ物との相性などについてコメントする。
※世界で初めて円錐形のコーヒードリッパーを開発した、珈琲サイフォン株式会社 代表取締役社長の河野雅信さんによる珈琲ワークショップを開催。「KONO式」の淹れ方などを教えてもらえる。
などなど、詳しくは上記リンク先でご確認ください。

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