多様性を尊重するまちで。かわさきジャズ2019 エリック・ミヤシロ スペシャル・ビッグバンド コンサート&ジャンボリー。

かわさきジャズ」というイベントをやっていることは、実は取材もしたことがあってずっと前から知っていた。Facebookもずっと見ていた。でも平日のライブも多く、なかなか見に行けなかった。ボランティアなど、自分が関わる方法も見つけられずにいた。
今年のライブのラインナップをチェックして、とても気になるライブを見つけた。エリック・ミヤシロさんのこの日限定のスペシャルビッグバンド、しかもA席で3000円とは、お値打ちすぎる。サックスの本田雅人さんをはじめ、気になるプレーヤーの方々が何人もいる。見に行くしかない、と思っていたら、Facebookでこの日の第2部「ジャンボリー」の参加者募集のお知らせが流れてきた。サックス、トランペット、トロンボーンの一般参加者60名を先着順で受け付けるという。どうしても参加したくなって、申込開始の日に応募した。

ただ、日が迫ってきてから事務局にメールを送った。妊娠7か月で、立ったまま全編吹くのは難しいかもしれない。ご迷惑をおかけするようなら、辞退も考えています、と。
そうしたら事務局の方から、現場にも伝えておきますので、ぜひお越しください、とお返事が来た。

外国籍の方も多く住む川崎市は、シティブランディングでも多様性をテーマの一つにしている。そういう考え方がこのイベントにもしっかり流れているのを感じた。住んでいながら、これまであまり地域のことに関わってこなかったけれど、初めて川崎市に住んでいてよかったと思った。

当日、昭和音楽大学のホール、テアトロ・ジーリオ・ショウワで13時受付開始。
待機場所であるホールの客席に入ってみると、大人が多い。同年代くらいの人から50代、60代っぽい人まで。高校生も少しいる。客席は後ろの方がぐっと高くなっていて、どこでも見やすそうな立派なホールだ。
そのまま客席で楽器の準備。ホールというのは段差が多いものだと気付く。

係の人の声で、ステージへ。足元の配線などに気をつけて進む。
雛壇に着くと、スタッフの方が「大丈夫ですか」と言っていすを持ってきてくださった。ちゃんと情報が伝わっていたようだ。ありがたい。。。

バンドの方々も入ってきて、リハーサルが始まる。エリックさんがマイクを取り、これまで吹奏楽のジャンボリーをやってきたけれど、そのビッグバンド版をやってみたいと思っていて、川崎市の多大な協力のおかげで実現した、と話してくれた。確かに、大勢の人が当日に集まって一緒に吹く吹奏楽のジャンボリーは各地で行われていて、私も一度参加したことがある。トッププレイヤーであるエリックさんが、そういう一般の人の参加のことも考えて、楽しんでいらっしゃるというのは少し意外だった。
そして話の最後に、今日はお腹に子どものいる人もいるとか、と紹介してくださる。絶対子どもも喜んでいるから、楽しんでいって、と。またも、大変にありがたい。。。周りの方々も「いつ産まれるんですか」とか、温かく話しかけてくれる。

最初に「お手本」として、本日のスペシャルバンドの皆さんが「ロッキーのテーマ」を。すごい。。近くで聞く迫力。本田雅人さんをじっと見る。後ろからは川口千里さんのドラムがよく見える。

今度は皆で一緒に。事前に配布されていたエリックさんの楽譜は多分、スペシャルバンドの皆さんと同じもの。しっかり難しい。
吹き終わるとエリックさんがアドバイスをくださる。続いて本田雅人さん、中川英二郎さんも。川口千里さんも。川口さん、かわいい。

リハの途中から、他のジャンボリー参加者の皆様にもいすが配られる。

一曲を一回演奏するくらいで次の曲へ。アドバイスもだんだんステップアップしていく。
途中、スペシャルバンドの皆さんとジャンボリー参加者でサイズの合わない曲がある。参加者の方から指摘があって、エリックさん、手元の楽譜を見、スペシャルバンドの方の楽譜を覗き、考え込む。エリックさんにもこういう場面があるのだな。同じ曲をいろいろな形態で演奏するので、少しずつバージョンが違っているらしい。

そしてリハーサルの最後にエリックさんは、楽しんで、と。いろいろと細かいアドバイスをした後にこの言葉が来ると、響き方が違う。

ここで一度解散。ジャンボリー参加者は最前の3列で見られるとのことで、移動する。管楽器側はすでに埋まっていたので、ソロマイクの近くへ。

開演。第1部はスペシャルバンドの演奏だ。本田雅人さんをフィーチャーした「September」は、いつもよく聞く熱帯JAZZ楽団さんのバージョンとはまた違った、大人の感じだった。「Sir Duke」はBlue Note Tokyo All Starsのライブで聞いてとても好きになったエリックさんのアレンジ。おなじみのリフが途中からはもる感じが本当にかっこいいのだ。また聞けて嬉しかった。

この日のホーンセクションの多くは師匠とその弟子で構成されていた。つまり、大御所と若手。皆さん素敵だし、弟子ということで期待を持って聞けるし、大御所のプレイも堪能できるし、若い方々のフレッシュさも楽しめるし、予算も全員大御所で揃えるよりは安く済みそう(笑)。

第1部が終わったところで、ケースから楽器を出して舞台袖へ。そしてスタッフの方の指示でステージへ。アルトサックスの人が一か所に固まる配置に。
スタッフの方が「いすいりますか」と聞いてくださった。大丈夫そうな気もしたけれど、ステージで倒れるのはまずいと思い、一応置いていただくことに。

バンドの皆様が入場し、最後にエリックさんが登場。「ロッキーのテーマ」から第2部が始まる。スペシャルバンドの皆様の向こうに、客席が見える。ステージから見える景色はきらきらしていた。周りのアルトサックスの皆様も、難しい譜面をしっかり吹いていた。何十分の一でも、そこにいられることに誇りを持って吹いた。後ろからでも、やっぱりステージで吹くのは楽しい、と思った。

2曲目は本田雅人さんをフィーチャーした「宝島」。エリックさんが「本田・ホンモノ・雅人」と紹介する。レコーディングは自分がT-SQUAREに入る前だけれど、ライブで数え切れないほど吹いたという本田さん。本物と吹くのはやっぱりぞくぞくする。
時々、念のためにいすに座らせてもらったけれど、それなしでも大丈夫そうなくらい元気だった。

アンコール曲は用意されていなかった。会場の皆様の拍手の大きさで決める、ということで「宝島」になった。それを、さっきより随分速いテンポで。実はこの曲の一番速くて難しいパートは、アルトサックスの楽譜だとシャープが6個ついている。とりあえず楽しく吹き切った。

終了後に一人の女性が話しかけてくださった。昔同じバンドにいた、トランペットの中学生の子のお母さん。今は高校生になったその子も、この日参加していたのだ。その日はその子の音をちゃんと聞けなかったけれど、ソロコンテストで入賞したりしてすごく上手くなっているみたい。。。同じバンドで活動したのは数か月だったけれど、輪が広がっていくのが嬉しい。いつかまたどこかで、夢にまっすぐな彼女が活躍する姿を見られる気がする。

実はその後、どうしてもお礼が言いたくて、こっそりエリックさんのFacebookにメールを送ったら、お返事がきた。嬉しい。

ちなみにライブ翌日はさすがに多少の腰痛がありました。。。ベルトをしたら普通に通勤も仕事もできたけれど。

かわさきジャズ2019
エリック・ミヤシロ スペシャル・ビッグバンド コンサート&ジャンボリー
日時:2019年11月10日(日)17時開演
会場:昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ(神奈川県川崎市麻生区上麻生1-11-1)
プログラム:
第1部 ビッグバンド・ジャズ 名曲コンサート
September、Sir Duke、Still Of The Night、Domingo ほか
第2部 みんなで楽しむ大合奏ブラス♪ジャンボリー in かわさきジャズ
ロッキーのテーマ、宝島、アフリカン・シンフォニー、ルパン三世のテーマ、Birdland
アンコール 宝島
出演:
指揮&トランペット エリック・ミヤシロ
サックス 本田雅人、 寺地美穂、小池修、鍬田修一、高尾あゆ
トランペット 小澤篤士、二井田ひとみ、田沼慶紀、山崎千裕
トロンボーン 中川英二郎、半田信英、石橋采佳、朝里勝久
ピアノ 青柳誠
ベース 川村竜
ドラムス  川口千里
一般参加者60名(第2部)

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です