「コミュニティ」に関する思索、1、2の続き。
「コミュニティ」という言葉が目について借りた本。
『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン 関わり、つくり、巻き込もう』紫牟田伸子+編集部編(2012、フィルムアート社)
「コミュニティ」の基本から解説。
コミュニティについて、これまで読んだ3冊の中で一番、基本から丁寧に説明されている。定義、性質、運営の実際、コミュニティデザインのこと、そしてたくさんの事例。実は「コミュニティ」や「コミュニティデザイン」について基本的なところが知りたいという人に向く本だ。最初にこの本を読むべきだったと思うほど。
基本の話が多く、タイトルにある「クリエイティブ」について、直接的に書かれているのはほとんど最後の方だけだ。ただ直接書かれていなくても、事例として紹介されているコミュニティには、どれも「クリエイティブ」の精神が入っているように感じられる。
私が山崎亮さんの本を読んで感じたコミュニティの性質、「誰かのために、ビジネスじゃなく何かする」というのは大体当たっているのではないかと、この本を読んで思う。もちろん、これだけではなくさまざまな性質が書かれている。
著者が多く、2~4ページで書き手が変わるため、引き込まれて一気に読むということにはなりにくい。一方で、いろいろな人の視点が入っている分、コミュニティというものについて偏りなく知ることができそうな安心感がある。
見つけた「コミュニティ」。
「コミュニティ」についてのいろいろ考えた末、私は二つのオンラインコミュニティ的なものに入ってみることにした。
一つは、育休中の人、共働きの人のコミュニティ。これについてはまた改めて書くとして。
もう一つはウェブマガジンgreenz.jpの寄付読者制度、「greenz people」だ。実はここに入ろうと思ったきっかけが、この本に収められている、greenz.jp編集長(当時)の兼松佳宏さんの文章だった。
そこには、greenz.jp にはライターやプロデューサーのコミュニティだけではなく、読者のコミュニティがあると書かれていた。
greenz.jp はずっと読んでいる。「greenz people」の仕組みができているのは知っていたけれど、そこにもコミュニティがあるとは考えていなかった。
きっと人数も多いだろうし、コミュニティとしてどれほど機能しているかはわからないけれど、ずっと読んでいるgreenz.jp さんなら間違いないのではないか、と思い、入ってみることにした。
まだ特に何の活動もしていないが、Facebookグループの過去の投稿をさかのぼっていくと、興味を惹かれる記事がたくさんで思わず読みふけってしまう。興味、関心が似ている人たちが集まっている、これがテーマ型コミュニティの醍醐味なのかなあと、ふと思う。
兼松さんは本書で、コミュニティの成功を見極める尺度の一つを「メーリングリストやFacebookグループへの投稿など、「リーダーからメンバーへ投げかけたときにしっかり反応してくれるかどうか」」だと書いている。「コミュニティの“温度”」が重要だとも。コミュニティについて詳しく知らない私なのに、なるほどわかりやすい、確かにそうかも、と深く納得してしまった。
私自身はそうしたときにオンラインで返事をするのがとても苦手だ。可能な限り自分で返事をするのは避け、他の人が反応するのを待ってしまう。でもそれは、コミュニティに貢献していないということでもある。
そして、自分は本書のタイトルにある「巻き込む」ことも、巻き込まれることも、苦手だと思う。これまでずっと、常に自分のことで精一杯だった。どうしてもやりたいことをやるためには、そんなにたくさんのことに手を出してはいけないと自らを戒めるあまり、SNSで何か呼びかけを目にして、いいなと思っても、なかなか動くことができなかった。
自分がそういう風だから、人を巻き込むのも、ただただ迷惑になるのではないかと今も怖い。インタビューをお願いするのも、いつも震えながらやっている。「巻き込む」ことで相手にも楽しんでもらえたり、プラスになることがあったりするようにできればいいと思うのだが、本当にそれができるのか、自問自答が長く続く。
この先、私はコミュニティに対して、ビジネスでなく何かして、それは自分の楽しみのためにやっていることだと言えるだろうか。そしてそこから自分の日々を変えていけるだろうか。
この先また変動があるかもしれないけれど、とりあえずそれでしばらくやってみることにする。