都会で聴く。@JAZZ AUDITORIA2018の1日目途中から。

やっぱりジャズは都市から生まれた音楽なのだろうか。ステージの途中、少し目を離して、ステージの前後にあるビルを仰ぎ見た。確かに、この東京の景色にも合う。
手元のスタンダード曲集、所謂黒本をめくっても、自然を歌ったとわかる曲はなかなか見つからない。でも、だからこそ、ジャズで自然を表現したら他にないものになるんじゃないかと思う。万照先生の曲にもそういうのがあるし、粥川先生も畜産センターでMVを撮ったりしている。そういう音楽がもっとあってもいいのだろうと思う。

あんな風に吹きたい。
感情をのせて吹きたい。
寺井尚子カルテット。最後のIt’s all right with meとか、そんなに難しい、複雑なアドリブをしていたわけではなかった。半音ずつ上がったりする、盛り上がるアドリブ。盛り上がっていた。フレーズもいいし音もいい。いろんなものをたくさん含んでいる音。
ステージに近づきながら、いい音、と思った。野外なのに。バイオリン、ベース、ピアノも。そしてドラムは平成生まれとか。ソロとかきめにセンスをびりびり感じた。

村上ポンタ秀一 プレゼンツ “THE TRIO” feat. 山下洋輔 & 坂井紅介。3人の息詰まる空間。お互いを見ている。真ん中の坂井紅介さんはあっち見て、こっち見て、したり。ポン太さんのドラムソロで他の二人が目を合わせて入ったり。例えば山下さんのソロを聞きながら、感じながら、それまでと違ってハイハットを入れてみたり。それで曲が、せっかくの山下さんのソロが、壊れてしまったらどうしよう、なんて考えていないんだろうな。自分の思ういちばんいいやり方で、ぶつける。ソロのほうも、そういう音でソロが変わるのもまた面白い、と思えなくては。柔軟な心、相手に反応できる、それでも自分のソロができるという、心の余裕が要る。そんな風にやってみたい、私も。そんな瞬間をちょっとでも味わえたら。
山下洋輔さん、見た目はおじいちゃんなのに、パワフル、という言葉では片付けられない多彩、多様なうただった。アンコールの曲はロマンティックに、ほとんど一人でもっていった。

ジャズは自由だ、と思った。ポン太さんのトリオの一曲目、I remember Aprilなのに、明るくない。ときどき、きらきらとメロディーが現れるくらい。重い。黒い。暗いというのとはちょっと違う。意味と厚みのある黒い層。こんな風にも演奏できるんだ、と思った。どう吹くかは、自由。それは、コードとかのルールとはまた別。練習でルールを掴んだら、本番は自由になれるのかもしれない。
初めて「寿限無」を聞いた。落語もジャズになる。素材も自由。そしてその表現の仕方もまた自由。無限。

次のバンドの練習で、寺井尚子さんになろう、と密かに思う。現実に打ちのめされたら、寺井さんの凄さはもっとわかると思う。

こんな風に一流の演奏を聴く機会が、しかもただで聴く機会があるというのは、数少ない、都会にいてよいことだと思う。だからありがたく享受しようと思っている。地方じゃ聞けない、いいな、と言われたとしても、私はそちらの方が羨ましい、と思ってしまう気がする。人生トータルで考えたら、今のところ私にとって都会の方がいいとは思えない。
でも、こちらで素敵な方々に出会えたことは、よかった。

ということは、一流の演奏を自然いっぱいのところで、地域の日常の近くで聴けたら最高だ。
そういう意味で飛騨高山ジャズフェスティバルには期待しかない。

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